土竜

春光に 連なれ黒き 土竜塚  腐阿魔多難禍

筑後川河川敷、柔らかな日差しの中で地中はすでに春、盛り上がった黒土の連なりに、もぐらの躍動を見た。

もぐらは、地中に棲むミミズや昆虫の幼虫を主な食物としていて、もぐらのトンネルは巣であるのと同時に狩猟用の罠の役割もするそうだ。
ただ地下のトンネル掘削作業はもぐらにとっては重労働で、穴掘りは既存のトンネルの修復や改修目的が主であるらしい。
又、もぐらは非常な大食漢で、胃の中に12時間以上食物が無いと餓死してしまうらしく、餌が手に入らなかった場合の対策として、唾液に麻酔成分が含まれており、それによって獲物を噛んで仮死状態にして巣に貯蔵しておくという習性を持つものが存在するらしい。

ともあれ、見えないところで生の息吹きが確実に増しているのは確かなようだ。

 

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雛と芭蕉

草の戸も住替る代ぞ雛の家
(くさのとも すみかわるよぞ ひなのいえ)

春、芭蕉は、はやる旅への想いを、「男やもめで家が荒れ果てるより、雛人形を飾るような幸福な家族が住むほうが余程よい」と、この歌を詠んだ。

旅か…、そういう季節になりつつある。

 

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冬は早朝(つとめて)

「桃尻語訳・枕草子」より。

橋本治氏によれば、清少納言はミーハーだったと、こんなんでこの寒さ少し和らがないか。

「冬は早朝よ。
雪が降ったのなんか、たまんないわ!霜がすんごく白いのも。
あと、そうじゃなくっても、すっごく寒いんで火なんか急いでおこして、炭の火持って歩いてくのも、すっごく”らしい”の。
昼になってさ、あったかくダレてけばさ、火鉢の火だって白い灰ばかりになって、ダサイのッ!」

(原文一段後半)
「冬はつとめて。
雪の降りたるは、いふべきにもあらず。霜などのいと白きも、またさらでも いと寒きに、火など急ぎおこして、炭(すみ)持てわたるも、いとつきづきし。
昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、炭櫃(すびつ)・火桶(ひおけ)の火も、白き灰がちになりぬるは わろし。」

 

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紅梅そして飛梅

春の胎動に、しばし耳を澄ます。

「紅梅」は春の季語、白梅より少し遅れて暖かさが感じられる頃に開くとされ、一方「白梅」は「梅」一般という季語に吸収され「紅梅」が独立したという。
従って「白梅」という季語はないとの記述も見られるが、早春の季語とも書いてある。
季語も変化するというから、果たしてどちらが正しいのだろうか。

ともあれ、よそんちの庭を眺めて、穏やかな気持ちになれるとは儲けものだ。

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ついでになつかしい「飛梅」(さだまさし)も貼っておこう。


'78「飛梅」 さだまさし怨念ライブ⑥

節分

街角ウォッチング。

今週は節分、そして立春
春よ来い…。

節分(せつぶん)は、雑節の一つで、各季節の始まりの日(立春立夏立秋立冬)の前日のことで、「季節を分ける」ことも意味している。立春の前日であり、立春は太陽黄経が315度となる日である。

豆撒きだが、「穀物には生命力と魔除けの呪力が備わっている」という信仰、または語呂合わせで「魔目(豆・まめ)」を鬼の目に投げつけて鬼を滅する「魔滅」に通じ、鬼に豆をぶつけることにより、邪気を追い払い、一年の無病息災を願うという意味合いがあるそうだ。

恵方巻(えほうまき)は、節分に食べると縁起が良いとされている「太巻き(巻き寿司)」で、大阪を中心として行われているその太巻きを食べる習慣があるが、この名称およびその風習は、1998年(平成10年)にセブン-イレブンが全国発売にあたり商品名に「丸かぶり寿司 恵方巻」と採用したことにより、2000年代以降に急速に広まったというから驚きだ。
恵方を向いて食べるというが、恵方とは、その年の福徳を司る歳徳神(としとくじん、年神様の別称)のいる方角で、その方角に向かって事を行えば何事も吉とされるという。
今年の方角は北北西というが、これは方角を16つに分けた「16方位」で示した場合の話で、本来、恵方はもう少し細かい陰陽道(おんみょうどう)由来の「二十四方位」で表されるというからちとややこしい。
それによれば、今年は「壬(みずのえ)」の方角になり、北北西より、少しだけ北になるということだ。
もっとラクに恵方を知りたい人は何と「恵方マピオン」というアプリ(iPhoneAndroid)まであったのでお試しを。

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ついでに、「春よ来い」(松任谷由実)はコチラ。


Haru yo, Koi [春よ、来い]