オリオン座

寒に入っての更に深沈たる空気漂う中、一歩外に出て宙(そら)を仰いでみる。

地方小都市でも幾らか無粋な人工光があるので、地平線が見渡せた道東や阿蘇外輪山からの満天の星は望むべくもないが、それでも今なら例えば東から南東の空に、霞目ながら赤い色を放つベテルギウスを確認できる。
それと対照的な青白いリゲル、そしてベラトリクス、サイフとくれば有名なオリオン座、今回はその中心の三ツ星の名、アルニタク、アルニラム、ミンタカも確認した。

ギリシャ神話の壮大なロマンに一時浸るのも良し、有限のチッポケ過ぎる自分が、無限の宇宙と繋がっているのだと勝手に体感するのも又良し。

画像は「星座神話」(http://www.geocities.co.jp/Technopolis-Mars/9444/ori.htm) より。

 

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芹を摘む

農を生業としていた頃、ハウス脇の側溝に芹が自生していて、摘むとあの独特の芳香が、辺り一面に拡がった。
水耕栽培だったので、遊び半分にその芹を始め葉わさびやハーブ等様々な葉物を育てていたのも、今となっては懐かしい想い出だ。

大分県は、実は水耕栽培におけるミツバの大産地なのだが、御多分に洩れず市場価格の長期低落傾向に歯止が効かず、代替品目としての芹の生産も行われていた。
それとは別に近隣の七草の生産地では、年末年始を返上しての出荷作業が行われていたのも、毎年の風物詩。
百姓には、皆さんの休祭日に働くという、別のカレンダーが用意されている。
 
芹の名は競(せ)り合うように群生していることが由来というが、日本語の成り立ちはいちいちとても風流だ。
 
「あかねさす 昼は田賜(たた)びて ぬばたまの 夜のいとまに 摘める芹これ」(葛城王
 
昼は仕事が忙しく、夜にようやく摘んだ芹だよと、意中の女性に芹を送る…、万葉の昔から季節の風物を愛でる日本人の風雅を、スーパーの棚の芹にちょっぴりお裾分けしてもらう。
 

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