青葉

目には青葉 山ほととぎす 初鰹
 ~ 山口素堂

素人でもすっと口について出るこの有名な句は、俳句としてもどうも凄い句のようである。
まず、「目には青葉」の「に」ではなく「には」でわざわざ字余りにしているのは、その後の「耳には」「口には」を暗に強調しているという。
次に「青葉」「山ほととぎす」「初鰹」と全部季語で、俳句ではタブーとされる掟破りのトリプル季重なり
更には句がぶつぶつに切れてしまう体言止めによる禁じ手の三段切れ。

目には姥(うば) ホトホト困り 初かつぎ
 ~ 腐阿魔多難禍

それに引き換え、はっきり言って凡句である。
季重なりどころか季語もなく、字余りや三段切れなどの技巧もない。
歩行が困難になった母を少しは気分転換させてやろうと、超久し振りに買物に連れ出してみたのだが、案の定動けなくなり、おんぶしながら楢山節考が頭を過ぎったという、洒落にもならないブラックな一句。

梅雨入りの今日から6月、「水無月(みなづき)」だ。