ほおずき

盂蘭盆
仏壇にご先祖様はいない
遠の昔に生まれ故郷の菩提寺に合祀した
金金金の坊さんも来ない
納得した(させた)はずの母が寂しそうだ
友人の何人かは元気な孫が帰省し
束の間の楽しい時間を過ごしたと
SNSで呟いている
スーパーには普段より大きな刺身やお寿司や惣菜の鉢盛が
所狭しと並べられていた
思い立つのが遅かった
店頭からは御供え落雁は撤去されて見当たらない
それでも細やかに安物の花を飾り果物を供えた
花売場で見かけた鬼灯(ほおずき)の色が鮮やかだ
田舎暮らしの時近隣の農家は
この時期出荷作業でおおわらわだった
いにしえの口に咥えて音を鳴らして遊んだ日々が
浮かんでは消えた