草の戸も住替る代ぞ雛の家
(くさのとも すみかわるよぞ ひなのいえ)
春、芭蕉は、はやる旅への想いを、「男やもめで家が荒れ果てるより、雛人形を飾るような幸福な家族が住むほうが余程よい」と、この歌を詠んだ。
旅か…、そういう季節になりつつある。
「桃尻語訳・枕草子」より。
橋本治氏によれば、清少納言はミーハーだったと、こんなんでこの寒さ少し和らがないか。
「冬は早朝よ。
雪が降ったのなんか、たまんないわ!霜がすんごく白いのも。
あと、そうじゃなくっても、すっごく寒いんで火なんか急いでおこして、炭の火持って歩いてくのも、すっごく”らしい”の。
昼になってさ、あったかくダレてけばさ、火鉢の火だって白い灰ばかりになって、ダサイのッ!」
(原文一段後半)
「冬はつとめて。
雪の降りたるは、いふべきにもあらず。霜などのいと白きも、またさらでも いと寒きに、火など急ぎおこして、炭(すみ)持てわたるも、いとつきづきし。
昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、炭櫃(すびつ)・火桶(ひおけ)の火も、白き灰がちになりぬるは わろし。」
街角ウォッチング。
今週は節分、そして立春。
春よ来い…。
節分(せつぶん)は、雑節の一つで、各季節の始まりの日(立春・立夏・立秋・立冬)の前日のことで、「季節を分ける」ことも意味している。立春の前日であり、立春は太陽黄経が315度となる日である。
豆撒きだが、「穀物には生命力と魔除けの呪力が備わっている」という信仰、または語呂合わせで「魔目(豆・まめ)」を鬼の目に投げつけて鬼を滅する「魔滅」に通じ、鬼に豆をぶつけることにより、邪気を追い払い、一年の無病息災を願うという意味合いがあるそうだ。
恵方巻(えほうまき)は、節分に食べると縁起が良いとされている「太巻き(巻き寿司)」で、大阪を中心として行われているその太巻きを食べる習慣があるが、この名称およびその風習は、1998年(平成10年)にセブン-イレブンが全国発売にあたり商品名に「丸かぶり寿司 恵方巻」と採用したことにより、2000年代以降に急速に広まったというから驚きだ。
恵方を向いて食べるというが、恵方とは、その年の福徳を司る歳徳神(としとくじん、年神様の別称)のいる方角で、その方角に向かって事を行えば何事も吉とされるという。
今年の方角は北北西というが、これは方角を16つに分けた「16方位」で示した場合の話で、本来、恵方はもう少し細かい陰陽道(おんみょうどう)由来の「二十四方位」で表されるというからちとややこしい。
それによれば、今年は「壬(みずのえ)」の方角になり、北北西より、少しだけ北になるということだ。
もっとラクに恵方を知りたい人は何と「恵方マピオン」というアプリ(iPhoneとAndroid)まであったのでお試しを。
ついでに、「春よ来い」(松任谷由実)はコチラ。
街角ウォッチング。
昨日「プレバト」で、氷面鏡(ひもかがみ)というのをやっていた。
寒さもうひと我慢か…。
寒中お見舞い申し上げます。
暇と齢のせいか、時候時節が気にかかる。
寒中とは小寒の始め(1/5~)から大寒の終わり(2/3)までの30日間、小寒の方がむしろ寒さがより意識されるとも。
二十四節気というものがあって、一年を24等分して季節の名前を付けたもので、中国から日本に伝わってきた。
ただ中国の気候をもとにしてつくられているので、日本の気候とは合わない部分があり、これを補うために日本では「雑節(ざっせつ)」という季節の区分け取り入れられている。
暦は元々太陽や月の運行から導かれているので、いわば理系の世界、そこから季節が生まれ、動植物や農耕に関連した表現名称が生まれていて、こちらは文系の世界。
ともかく暦に関しては非常に奥が深く、これから少しずつ見ていければと思う。