色なき風

街中の猫の額ほどの公園のベンチで、
お土産にもらった VENTETLUNE のサンドイッチと甘めのクロワッサンをゆっくりつまんでいる。
色なき風に花々の色が揺れている。

去年もそうだった。

2時間余りの健康診断。
朝早くから大勢の企業戦士(たぶん)達が、
あっち行けこっち来いとの、てきぱきとしたスタッフの指示に従って、右往左往している。
(これが毎日続いているのかと考えると、驚きでもある)

生き生きとした男、
疲れ切った男、
無表情な男、
ずっとスマホをいじる男。

さしたる大病もした経験がなく、
周りからは悩みのない能元気な親父と見られているだろう。
ずっとほぼ正常値だった様々な値が、
年相応とも言えるのだろうが、
じわりじわりと変化してきていて、
精密検査の項目も出てきたり、
体重や腹囲については完全にレッドゾーンだ。

ウォーキングやサイクリングやラジオ体操やスクワットも、
再開しなければと思いつつ、ただただ時間だけが過ぎてゆく。

健康診断については、有効だとも無意味だとも、かえって有害だとかの論議がある。
実際「人間ドック」では検査を受けた人の92.2%に、何らかの異常が見つかるという。
世界の医療の趨勢は、「早期発見早期治療」から「予防医療」の時代になっているとの話も聞く。
個人的にはこうして定期的にチェックを入れてもらえるのは、悪いことではないとは思うが、
天寿というものもあると思う。

来年もここで、 VENTETLUNE のパンをつまんでいるだろうか。


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