今日から10月、「神無月(かんなづき)」だと言いたいところだが、「神無月」の由来の一つに「醸成月(かもなしつき・かみなしつき・かみなつき)」が転じたという説がある。
翌月に行われる「新嘗祭(にいなめさい)」のために新穀で酒を醸すことからこう呼ばれるというのである。
ついでに10月1日はなんと「日本酒の日」であるので、しぶしぶ日本酒の話を書くことにする。
何で日本酒の日かと言うと、まさしく10月は収穫された新米で酒蔵が酒造りをはじめる季節。
又十二支の10番目に当たる10月は「酉」の月で、日本では「トリ」と読まれまるが、元来は壷の形を表す象形文字で「酒」を意味する文字でもあり、このような理由から日本酒造組合中央会は1978年に「10月1日は日本酒の日」と定めたとある。
吾輩であるが、今でこそラム酒の愛好家などと称しているが、基本お酒であれば何でも飲むし、中でも日本酒との付き合いは長く、本当は日本酒を一番好むといってもよい。
ただ、飲んでいた日本酒が貧しさや時代背景もあって劣悪な品質でまがい物も多く、日本酒は悪酔い二日酔すると言われる時代でもあった(ただ当時から質より量の問題であったことが判明している)。
例えば若気の至りで学生結婚したため自活せねばならなくなり、大学とは反対方向の調布市の鉄工所で一介のプロレタリアートとして働いていた。
帰りは工場のおいちゃん達とほぼ毎日角打ちしたり、酒屋の裏でコンテナに座りいわゆる合成酒を飲みながら、資本主義社会の矛盾を体感していた。
その頃飲んでいた日本酒は、時代的には通常の2倍もの醸造アルコールを添加した「三増酒(三倍増醸酒)」と呼ばれるものが中心だったのだろう、その中には質の悪い酒も少なくなく、そういう酒をあおっていたわけだ。
ただ醸造用アルコールは、実はサトウキビなどを原料とした糖蜜から作られた蒸留酒(今も好きだ)なのでそれ自体が悪者ではなく、もう一方の添加物である醸造用糖類の大量添加の方が問題だったのではと思う(実際1升瓶には茶碗1杯の味の素が添加されているとか言われていた)。
ついでに先日同級生の酒のプロと話した時のいわゆる「燗」の話題も載せておく。
現代においては、特に高級な日本酒は冷やして飲むのが常道のようになっているが、そもそも冷酒は日本酒の伝統からは外れており、例えば大吟醸酒だからといって燗はタブーではない。
逆に燗をつけると造りの良し悪しが露呈してしまうともいい、彼はいわゆる「ぬる燗」を推奨していた(もちろん銘柄による)。
とは言え、今日から10月「醸成月」なのだから、吾輩の願いはもうお解りであろう、よろしくお頼み申す。
(画像は自分のGoogleフォトより)